しゃり・・・とシャーペンで書く音がかすかに聞こえ
炭素の粉末が紙の上を滑り,お世辞にも綺麗とはいえない字を書き連ねていく。
ほとんどがパソコンで済ませるこのご時世に手書きの部分なんてほんのわずかだ。
ボールペンよりシャーペンや鉛筆の方が上手く書ける・・・気がする。
ふと大学のレポートを書きながら思った。
「(昔より字が綺麗になっている気がする。)」
元々綺麗ではないのだが,字を書くことが少なくなった最近の方が字が綺麗になっているのだ。
考えて,少し気づいた。
「(丁寧になったんじゃなくて書くスピードが遅くなってる・・・)」
昔は頭の中に入ってきた字が早すぎて,それに手が追いついて来ず
楷書の筆記体で,見るも無惨なノートになっていたのだが
最近は頭の中で考えた文章を整理してから書いている。
・・・そうなのか?
また考えて,気づいた。
「(頭の整理云々じゃなくて,単純に処理能力が落ちたのでは無いか。)」
昔はもっと頭の回転が速くて,反射でタイピングをするように書いていたのが
頭に浮かべる時間がロスしているのではないか。
実際,脳内反芻が増えた。
いや,その分じっくり考えることが増えたのではないか。
そうも考えてみた。
最近,お気に入りの文具は万年筆である。
本部に異動して半年の記念に買ったものだが,さらさらと書くのが心地よい。
気づいた。
「(筋力低下だ・・・。)」
自分はデスクワークだし,筋トレとかきついし・・と問題から逃げようとした。
体育会系の友人が『筋肉は裏切らない』と言い,今日も元気に筋トレを続けている。
少し,握力だけは戻した方が良いかもしれない。