言いたいことはすぐ言う

口が過ぎれば足を取られます。基本的にはWord2ページ程度

ようこそ狭い社会へ

4月
期待と不安で胸一杯の新卒が入ってきた。
自分とは違って大卒でいきなり本部勤務のエリートコース。勿論聞いたことある大学だ。

18で入社した私にとって、彼は同級生ながら後輩になる。
“社会人面できるんだな~という驕り”と,“ようやく同い年の人が入ってきた”という嬉しさが半分半分で迎える事になった。
 
多分一日目は入社当時の自分同様,何も分からないまま終わったんじゃなかろうか。
しかし、大卒への期待というのは恐ろしいもので、入社二日目いきなり仕事を振られていた。
 
自分の入社時を思いだせば“とりあえず社内システムに馴染むためにパソコンを好き勝手いじる”という記憶だった。
(とはいえ、自分は物心ついたころからパソコンが家にあり、
中学生のころから2chにROM専で入り浸り、
ローマ字で打てるようになってからは今は亡きHPなど黒歴史製造機と化していたので
タイピングは同級生よりは早かったし、
中学時代の放送部の時にはPowerPointで放送機器の取扱説明書を作って、
何故かWordでチラシを作ったりなど、基礎的なことは出来たので
『高校の普通科卒なのにやるね』と大分感心された。)
 
で、当の新卒はというと、案の定てんぱっていた。
パソコンのメールの開き方すら分からないのに仕事してるぞ・・・
あの上司,人見知りだし新卒を相手するのも初めてだから言葉が足らないぞ・・・。

高卒の侮りと大卒の買い被りが当たり前の職場だから手伝おうと思い、こっそりわからないところを聞くことにした。
 
『スキャンしてpdfですか?にしろって言われたんですけど・・すいません・・・・』
速攻でスキャナーの使い方を教えてソフトと職場言葉を教えることにした。
 
幸いにも自分は割と手すきの時期と高卒に振られる程度の業務量だったが、彼は悲しからず繁忙期だった。
 
その新人が入社2週間で“研修の講師”をすると聞いて、軽く引き笑いをしたのだが、
そこは私には範囲外だったので口をつぐんでいた。
とはいえ、職場で口出し出来ないのであればアフターファイブだ。
という訳で急遽ドトールでお茶会を開く事にした。

前の職場では係内でコミュニケーションを図るのがあったのだが、本部では馴染み無い文化らしく
また、彼に取っては悲しいことに、彼以外全員女性の係に配属だった。
 
せめて年齢の近いもの同士の話する機会ぐらい設けてもいいだろうと思い、食事よりは軽いお茶会にとどめることにした。
 
・・・が,入りたての新人(しかも異性)をマンツーマンで誘うのはハードルが高い。
手近な年上の男性職員に話をして,彼の方から誘って貰って行くことにした。
 
誘った職員はオレンジジュース,新卒はココア,自分はハニーカフェラテ
誰一人コーヒーを頼まぬまま,とりあえず20代のみのお茶会が始まった。
 
好き勝手質問をして,『みんな優しいですよね』とか,昼ご飯の注文の仕方とか
歓迎会の新人挨拶があるとか,別部署の友達の作り方とかをだらだらと喋っていた。
やっぱり質問仕切れなかったんだろうなぁ。
 
報告・連絡・相談の大切さを身をもって体験した話とか,
結局全員知らないことだらけだし,遠慮無く若手に聞いて欲しいという失敗談からの話だとか,
果ては結婚したいとかしたくないとか結局3時間ぐらい喋っていた気がする。
 
それ以降、彼から積極的に話しかけてくる機会が増えてきた。
『ツーアップって印刷どうすればいいですか?』とか初歩的な質問だが、
忙しそうな先輩に気を遣って割りと席の近い自分に話しかけてきた。(一応自分も暇では無いが、多少の余裕は持って仕事配分をしているつもりだ)
 
 
うちの職場の歓迎会は遅い。
4月下旬のその時,そこの上司からお礼を言われた。
『話す機会作ってくれてありがとう。』
「(飲めばそれだけ話せるんだから普段から話せよ・・・)」
心のぼやきをジンジャエールと共に飲み込みながら会釈で返した。
 
 
因みに,新卒君が一番最初に口火切った質問で,二人が一番答えに詰まったのは
『朝何時に来たら良いですか?』だった。
同僚は7時,自分は7時半に来ている。
・・・が、始業は8時半である。
「『8時半までに。』」
そう答えることしか出来なかった。
 
自分と先輩は早く来て自主的に仕事やら,掃除をしている異端児なので真似をするなと付け加えることぐらいしか出来なかった。
彼はきちんとギリギリに来ているので偉いと思う。