言いたいことはすぐ言う

口が過ぎれば足を取られます。基本的にはWord2ページ程度

都合が良いのは作られたものだけで

約束の時間に来なかったとかそんな軽いものから
恋人を親友に取られたとか
・・・裏切りの程度はあれど誰しも経験しているのではと思う。

私の好きな書、ダンテの「神曲」作中では裏切りの罪は最も重い。
・・・だが、宗教的な話をしたい訳ではないのでここでは省く。

私自身、人生を長く歩いて来たわけでもないからその経験は少ないが
中学生の時に初めて「(裏切られた。)」と思う時があった。

その相手はきっと自分のことは知らないし、これから先一生会うことも叶わないかもしれない。

ただ自分が勝手に裏切られたと感じているだけのエゴだが、それは私にとって確かに大きな裏切りだった。

彼の名は杉下右京
・・もしくは彼を演じる水谷豊。
ドラマ「相棒」の主人公であり、当時中学生の私にとって彼は理想の存在だった。

頭脳明晰で慇懃無礼
中二心というべきか紅茶にはまり(勿論ティーパックだが)
英国に憧れを抱き、時に暴走する正義に心奪われ、警察官になりたいと思ったほどだ。
自分が見る前のシリーズも借りて見た。

そんな彼が探偵役として出演した左文字進というドラマがある。
彼の主演、そして探偵という刑事に似た部類の作品に出るということでそのドラマを見た。
頭脳明晰で慇懃無礼な彼はそこに無く、左文字という男は時に自己愛的資質を持ち、女装までこなす。

理想を打ち砕かれたというのはこのことかもしれない。

子ども心ながらに凹んだ。
だが、役と役者は元々別の人間だ。

少し似た別な例えをするとアニメオタクの“嫁”は大抵アニメのキャラクターであり、演じる声優では無いことが多い。
勿論、アニメのキャラクターは声ありきで、声無しにアニメのキャラクターは喋らないし、“声優”がいなければ日本のアニメ文化はもっと廃れたものに違いない。

時に声優さんを目的とする人もいるが、大抵の場合、“嫁”と公言するのは“キャラクター”であることが多い。声は“そのキャラクターだけ”のものなのだ。

作られた人間を演じるだけで、本来の人格とは違うものだということは分かっている。
それでも私は杉下右京という作られた架空の人間に心動かされてきた。

役者は多彩だ。
本来持っている色の色相・明度・彩度を使い分け、それを光らせ、輝かせる。
一色に惚れた私には他の色があったことを知らなかった。

私にとって役者は全員裏切る存在である。これまでも、これからも。
都合の良い、作られたものを愛する都合の良い私にとって。

 

相棒season14 オリジナル・サウンドトラック

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