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社会人三年目と僕が置いたノート

3年目の春
僕は今まで2年間お世話になった上司さんに別れを告げた。

それは同時に新しい上司さんがやってくるということでもある。
何でも20年間現場で汗を流し続け、異動してくる前の職場で初めてパソコンを触った。
そんな人だった。
勿論僕らの道理とは無縁の人間だった。

最初は新しいパソコンの使い方から教えた。
2年前、前の上司さんが僕に教えたように。
・・・だが相手は僕より年上どころか
家庭を持ち、子供ですら僕より年上の家族がいる人だ。
恐らく常人ならば屈辱的だっただろう。

だが上司さんは恥を捨て、むしろ清々しいまでに分からないことは全て僕に聞いてきた。
こういう人間でありたい。と僕はいまだにその上司さんを尊敬している。

上司さんは地元の地理に長けた人間だった。
どこに何があり、ここなら有利に進められる。
僕が苦労した現場業務は彼にとってむしろ本業だった。
彼に現場業務の全てを渡し、自分は前の上司さんの仕事を受け持った。

自分がやりやすいように変え、自分が苦労しないように工夫し、
恐らく見えない努力で誰にも評価されなかったが、のちに後輩に大変ありがたられた。

周期から言って僕がここにいれる最後の年だと分かっていた。
僕は時間のある時に“説明書”を作り始めた。
想像するに僕の前任者は新任で、僕も新任でここの席についた。
・・・とすれば僕の後も新任であることは容易に想像がつく。

その時上司さんが教えに困らぬよう、僕の後輩が悩まぬよう、一からの作業だった。
何故今までこのようなものを作らなかったのかと思うくらいだが
初歩の初歩。手順書みたいなものだ。
「右から三つめのボタンを押し、その後表示された画面の左から・・・」
そんな感じだから誰も作ろうとはしなかったのだろう。

そしてその想像はあたり、僕の後には大学卒業したばかりの後輩がやってきた。
形式的な手順書の他に、僕の今まで経験してきた“書類に残せない”手書きのノート3冊を全て渡し、僕は去った。
3年間勤めた初めての部署へ別れを告げた。

 

ツバメノート B5ノート3冊パック 8mm×28行 30枚 W30S-3P

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(実際にはこの後半年は陰ながら手助けをするのだがここでは省略する。)