読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

言いたいことはすぐ言う

口が過ぎれば足を取られます。基本的にはWord2ページ程度

18の春と社会人1日目 -後編ー

僕が通されたのは“総務課”
どうやら僕はここで働くらしい。


たった9人の課で僕が案内されたのは部長室から目と鼻の先の席。
一番近い席だった。

 

必然的に来客応対もせざるを得ないだろう。
何となくそう思った僕の席の目の前には僕の初めての上司がいた。

女性で、髪を全て後ろで束ね、細いフレームの眼鏡をかけたその奥の目は丸々と見ている。
いかにも仕事が出来そうな女性だった。

 

聞くと係は僕とその上司さんしかおらず、係長はそもそもおらず補佐が兼任している。

その補佐も漫画で出てきそうなくらい慌ただしそうに動いてこちらに注意を向けるどころではなさそうだ。

与えられた席に座る。

一通り机の中の書類や文具類に目を通しながらこんなものなのか。

まだ僕は夢の中にいるんじゃないだろうか。

実はまだ高校生で、就職も大学も行く当ても見えずさまよっているのではないか。

 

そんな錯覚に襲われる。

上司さんが横に来て、これを書くようにと渡された。

どうやら日記らしく、上司さんと僕との間で交換日記のようにするらしい。

『様式はパソコンに入ってるから。』

と言われ、とりあえず訳も分からないから今日の感想を書いた。

印刷して、印鑑を押して、上司さんに手渡す。

半年間、これを続けるらしい。

 

まだ何もすることを許されていない。

『仕事をしろ』との命令も貰っていない。

僕は自分から聞いた。失礼だと分かっていても失敗は今のうちにしておいた方がいい。
「何かすることはありますか?」

上司さんは僕を見つめ、

『明日、前任の人がくるから今日はすることがない。あと1時間ほどあるから“心構え”を読んでてください』

それが僕の初めての”仕事”だった。

入ってこない文字をひたすらに詰め込む。

僕の最初の一日はこれで終わった。

 

図でわかる!妹に教えたい世界のお作法 (サクラムック)

図でわかる!妹に教えたい世界のお作法 (サクラムック)