読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

言いたいことはすぐ言う

口が過ぎれば足を取られます。基本的にはWord2ページ程度

18の春と社会人1日目 -前編ー

社会人旅行

過去の自分を振り返るにあたって一人称を”僕”としてみた。

 

18歳の春、僕は着られたスーツに身を包み、本社の目の前に立った。
これから働く会社だ。
だが、僕が働くのは本社ではない。
地元近くの出先部署。だが入社式には全員本社へ集まることになっている。

ここで働くために捨ててしまったものも多い。
大学入学を斡旋する高校で、自分みたいな就職希望者は構ってくれず
先生はいつも大学進学を勧めていた。
入社試験間近の夏休みには部活での連携は取れなくなったし、
案の定所属していた部活の団体では予選落ち。
それに関しては自分の所為だとずっと言い続けているし今もそうだ。
『それらを捨てて来た』というある種の“傲慢”の名の元今ここに自分は立っている。

ここは家族。あとは理解ある少ない友人に祝福された職場だ。
あれほど大学進学を勧めていた学校の先生でさえも
ここの就職が決定した瞬間、手のひらを返して手放しに喜んでくれた。

高校卒業して約一か月。そのまま僕はずっと遊ばせてもらえなかった。
母親の『何か問題を犯して入社取り消しになってはいけないからだ』という理由で
行くことを許された自動車学校と家との往復。
卒業旅行は勿論。バイトも許してもらえなかった。
母親は僕の事を危惧して言った決断だったろうが当時の僕には寂しかった。

だが僕が今まで裏切って来た皆を思えばこれは余りに軽い罰のように思えた。
今までが好き勝手やりすぎていたのだ。
そんなたった一ヶ月にも満たない空白の時間を過ごし、
今日。たった一枚の紙きれをもらうためにここに来た。
“辞令”
この紙切れ一枚にたくさんの重さがあることは分かっているがあまりにも軽い。

その後一枚の紙切れと“新入社員へ”とかいう名前の資料とか
“心構え”とかいう沢山の書類を持って僕は初めての職場にやってきた。
通されたのは部長室。少しやせた、見た感じ温和な部長だった。
挨拶を済ませ、勧められたお茶を飲む。
素直に飲んだのは僕一人だった。
同期が残り2人いたが、2人とも大学卒業生で
「(もしかしてマナー違反だったか?)」とか変なことを思っていたが
部長はにこやかな表情を崩さない。
もう一度勧められてようやく残り2人もお茶を飲んだ。
僕には少し薄く感じられるお茶だった。

 

 

図解 マナー以前の社会人常識 (講談社+α文庫)

図解 マナー以前の社会人常識 (講談社+α文庫)